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『第2の米国進出』が、飛躍へのチャンス
 M&Aの「A」は、『買収』でなく『同盟』

竹中パートナーズ・グループ
代表取締役社長 竹中 征夫 

 日本人として初めてピート・マーウィック・ミッチェル会計事務所(現在のKPMG)に入所し、わずか8年でパートナーへと上り詰めた。日本企業の国際化を助けることを天命とし、米国進出やM&Aなどで日本企業を支えてきた竹中さんが、2月28日「生き残る国際企業のリーダーたちへ~いま求められる『躍進の条件』を語る」というテーマで講演会を開催し、ニューヨーク日本クラブに集まった会計士や弁護士、ビジネスマンなど約40人が熱心に耳を傾けた。

 終戦後の焼け野原から立ち直り、ものづくりと輸出を通じ成長してきた日本。海外に現地法人を設け「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の地位を掴みとったが、プラザ合意をきっかけに状況は一変。バブル景気そして崩壊、失われた20年へと突き進んだ。少子高齢化、急速な市場縮小が進む日本は今後どう動くべきか───竹中さんが提唱するのが『第2の米国進出』だ。

 竹中さんは、自ら買収に関わった日本ミネチュア・ベアリング(現在のミネベアミツミ)の成功事例を挙げ、日本企業の今後の動き方を説く。米国軍需産業に使用される製品は全て米国で生産されなければならないとされた時、現地ベアリング工場買収という決断が現地化を加速させ、その後のミネベアの成功に繋がったと言う。また、80年代の自動車貿易摩擦でも、現地生産へと移行したホンダの英断に他メーカーが追随し、今の日本車メーカーの優位が生み出された。ものづくりが強い日本にとって、トランプのメイド・イン・アメリカは『招待状』であり、ここに大きな飛躍のチャンスがあるのだと竹中さんは捉える。

 成功には、米国に根を張り、現地での生産を進めていくことが必要だ。そして次の3つの事柄に取り組まなければならない。1つは、『優秀な米国人を雇い、権限を与えること』。日本本社からコントロールするのではなく、権限を与えて行使する環境を整える。結果が良ければ報酬を与え、結果が伴わなければ首を切る。そうしなければ良い人材は去り、働かない従業員だけが残る。2つ目が、『マーケティング・セールスを強化すること』。テクノロジーが進化し、同じような製品が簡単に作れる時代。マーケティング&セールスで差別化を図らなければ、ものを売るのが難しい。最後の3つ目が、『米国企業、米国市場を相手にビジネスをすること』。米国市場で成功するには、主流となる米国企業とのビジネスを増やすことが重要───これが日本企業の『第2の米国進出』の課題であり、大きなチャレンジだと竹中さんは力説する。

 1965年から会計士として日本企業の国際化を見てきた。両親の移民にともない15歳で渡米し、大学で会計学を学び、ピート・マーウィック・ミッチェル(以降KPMG)に入所した。1989年に独立したが、その後のバブル崩壊の影響で苦しい時代も経験した。しかし、グリーンフィールドで企業をリストアップし、調査を重ね、訪問する地道なやり方が、これまで多くの成功事例を生んできた。「第2の米国進出にとって、M&Aはマストです。また、M&Aの「A」はAcquisitons(買収)ではなく「Alliance(同盟)」と認識し、自分たちが支配してコントロールするという考えを捨てなければ成功には辿り着けないでしょう」。

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 精力的に活躍する秘訣は、「3P(パッション、ポジティブ、プロアクティブ)」、そして「3K(感謝する気持ち、謙虚な姿勢、神に対してお返しをする工夫や知恵)」の2つのポリシーによるもの。このポリシーに、近江商人の「三方よし」の経営哲学を念頭に置きながら、今後も突き進んでいく。「人生は『学ぶ道場』。心から尊敬できるメンターを持つこと、そして優れた経営者に可愛がってもらうことが大切だと竹中さんは言う。自らも、日本ミネチュア・ベアリング創業者の高橋高見さんから「夢とゴールを持つことが大切」ということを、丸八真綿創業者の岡本八二さんからは「人間と日本の社会」、そしてホンダ創業者の本田宗一郎さんからは「やらまいか精神の大切さ」を学んだ。こうしたメンターからの学びが、ビジネスにおいて、そして人生において非常に大きな大きな糧となるのと話を終えた。

https://www.takenakapartners.com

《企業概況ニュース 2019年4月号掲載》
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