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移民である自分を優しく受け止めてくれたコロンバス

顧客のために、そして社会の弱者のために
移民である自分を優しく受け止めてくれたコロンバス

TSGアドバイス・パートナーズ           www.tsgadvice.com
マネージング・プリンシパル、ファイナンシャル・アドバイザー 荘司 佳勲 さん

 顧客の最善利益を求めること───必要となる情報は全て開示し、顧客にとってのベストを追求する。米系投資プランニング会社アメリプライズ傘下のシューマッハーで共同経営者を務めてきた3人が独立し、昨年11月に誕生した新会社TSGアドバイス・パートナーズの経営理念がここにある。

 『投資顧問・運用代行』と、『ファイナンシャル・プランニング』2本柱の完全独立系投資顧問会社(RIA)として、主に個人向け資産管理、子供の教育資金や、家・車のリース、保険、節税対策など、お金にまつわるどんな些細なことにも相談に乗る。「お金の悩みは富裕層だけのものではありません」。富裕層には富裕層の、資産を多く持たない人にはその人なりの悩みがある。富裕層はもちろん、こうした層の方々にもお金の知識を持って頂けるようしっかりサポートできる立場でありたいと荘司さんは言う。

 「日本人のお金に対する姿勢を表すものとして、貯めるのは得意だが、増やすのは苦手というものがあります。少し視野を広げて、『資産を増やす』というベクトルを持つことをお勧めしたい。駐在員のご家庭であっても、こうした考え方を身に付けることで、日本での帰国後の暮らしに大きな影響を与えるはずです。自分の人生にどんな選択肢があり、何をどんな価値観に拠って選ぶのか ─── その最適な答えを一緒に考えていきたいと思っています」。

 〝お金のこと〟が事業の柱ではあるが、TSGが目指すのは自らの儲けではない。『ソーシャルエンタープライズ(社会的企業)』になること。この達成に向けて事業に取り組んでいると言っても過言ではない。もちろん企業運営のために収益は必要だが、余剰金は全て社会貢献のために寄付をしていく。ミッションステートメントである『TO DO GOOD. FOR YOU. FOR OTHERS.(善き行いをしよう。顧客のために、そして社会の弱者のために)』が表すように、自分たちにできることを、この理念に賛同してくれる顧客と共に成し遂げていく。

 これまでも、会社として様々なボランティア活動に参加するほか、コロンバス近郊にある団体に売り上げの数%を寄付してきた。社会を見渡せば、性的・労働的な人身売買、そして貧困の問題など、解決すべき問題は山ほどある。貧困エリアに生まれたがために、人生が決まってしまうこともある。こうした子供たちが夢を持ち、未来に羽ばたくためには誰かの手助けが必要なのだ。放課後に宿題を教えてくれ一緒に勉強する場、温かい食べものを提供してくれる場。こうした安全な場を用意するだけで救われる未来がある。「学ぶ喜びと機会、大学進学の機会、そしてやりがいのある仕事に就く機会。こうした道筋を作ってあげることが、その本人だけではなく家族、そして子孫の人生を変えるのです」。

 荘司さん自身も、アメリカでの子育てを望んだ両親に連れられ13歳で広島から渡米。親戚を頼りハワイに1年、その後オハイオ州コロンバス近郊のヒリアードへと移り住んだ。「コロンバスはでっかい田舎です。都会になりたいけどなりきれない。年々便利になり、都市化が進んでいるのですが、人々も田舎っぽさが残っていて優しい。そこがここの魅力であり、僕の大好きなところです。コロンバスを希望して赴任してきた駐在員家族は少ないのかもしれません。でも、帰任の際には、皆さん『住みやすいエリアで本当に良かった』と笑顔で帰任されます」。

 誰かから受けた恩を、その人ではなく次の人に渡す「Pay it Forward」の精神。自ら移民として、英語も話せずに放り込まれた荘司少年も、ここコロンバスの街や人は温かく受け入れてくれた。高校全校生徒1600人のうち日本人6人、97%が白人というコミュニティであったが、差別を受けることもなく、素晴らしい友人や先生にも恵まれた。そして、意義ある仕事に巡り合い、家族と共に幸せな生活を過ごせている。これは、自分だけの力で成し遂げられたものではない。こうしたチャンスをくれたアメリカ、そしてコロンバスに恩返しをし、次の誰かに渡していけるような生き方をしたい。そう常日頃から考えているのですと荘司さんは話てくれた。

  《企業概況ニュース》2020年 6月号掲載