Home > Featured > 《BentOn》和食ミールキットで、 アメリカに 『新しい食スタイル』を
BentOn べんとおん
社長 古川 徹 さん           www.Bentonkit.nyc

 ウェブサイトで注文すると2〜5日でキットの入った箱が自宅に届く。購買者は真空パックをお湯で5分温め、好みのお皿に盛り付けて食べるだけ。そんな手軽な和食ミールキットのサービスが、ニューヨーク発の弁当屋「べんとおん」からスタートした。コロナの影響でリモートワークやホームスクールが始まり、生活スタイルも一変。外食の機会が大幅に減り、家で食事をする時間も大幅に増えた。食べることは楽しい。しかし、料理を毎食作る手間は決して楽なものではない。調理をする人たちの負担を少しでも減らしたい───それが、和食ミールキット「べんとおんキット」誕生のきっかけだった。

 10月末にサービスを開始し、購入者から感謝の声が毎日届く。育児に追われる主婦や、毎日の食事を考えるのに疲れた単身赴任者には特に喜ばれている。毎日、デリバリーやファストフードという選択肢もあるかもしれないが、やはり味が濃かったり油が多かったりと生活習慣病への不安もある。こうした栄養バランスの偏りも考え、べんとおんキットのメニューは全て管理栄養士の安永麻紀さん監修のもとに決められている。「普通のお弁当と違うのは、自分が食べたいお弁当でなく、大切な家族や子供にも食べてもらいたいお弁当だということです。多くの方々に意見をお聞きして辿り着いたのが、この栄養バランスが取れた和食ミールキットでした」と古川さんは説明する。

アメリカで和食のミールキットはまだ珍しく、試行錯誤を続け、寝る間も惜しんで商品開発を進めてきた。機械のボタンをポンと押して真空パックに詰めればよい訳ではない。和食には、真空にし過ぎてしまうことで美味しさが損なわれる食材も少なくない。「べんとおんキットは1週間以内に食べきることを前提に設計されています。きっちり真空状態であれば半年は持ちますが、少しだけ空気を残して食材の状態を安定させた方が絶対に美味しい。逆に空気を残し過ぎれば、湯煎の時に浮いてきてしまう。この微調整を繰り返しながら、最高に美味しい状態を追求しています」。

 古川さんが作る弁当には、弁当屋の誇りや技術もたくさん詰まっている。例えば、調理してから口に入るまでの時間が徹底的に考えられている。お弁当は、作って3、4時間後に一番美味しい状態になるよう考えられ、味付けには細心の注意と様々なテクニックが駆使されている。ましてやミールキットとなれば、準備してから3、4日後、さらに5分間の再加熱が必要とされる。その時に一番美味しい状態になるよう、分量がしっかりと計算されているのだ。

 この和食ミールキットの全米展開───これが、古川さんの現在の目標だ。年内はニューヨーク、ニュージャージー、コネチカット、フィラデルフィア、デラウェア、メリーランド、バージニアの7州にワシントンDCを加えた8エリアが配送対象だが、現在イリノイとオハイオを加えた9州+1の10エリアでの展開を目指している。「道のりは決して甘くありませんが、キッチンに立ち、いつも料理を用意している人たちへの敬意と感謝を込め、少しだけお手伝いをさせて頂きたいのです」。

 メニューは、人気のビビン麺、カツ丼、ぶりの照り焼きなどをベースに2週間に1度入れ替え、飽きのこないサイクルを構築する。得意分野であるサイドメニューにも力を入れ、とうもろこし豚やサバの味噌煮、クリーミーごぼうサラダなどの一品料理も好評。実は、煮物やサバの味噌煮などはミールキットの方が断然美味しくなるそうだ。真空パックに包まれている間に味が染み込み、家で加熱時にさらに味わいが深まる。今後も、鹿児島県の人気ラーメン麺屋二郎キットやご飯のお供となるオリジナル缶・瓶詰めなど、魅力的で美味しい新商品を次々と投入していく予定だという。

べんとおんキット注文サイト : www.Bentonkit.nyc

《企業概況ニュース》2020年 12月号掲載