Home > Featured > 《iichiko USA, Inc. 》ハードリカーの世界で勝負する焼酎の新しい価値
iichiko USA, Inc.     
ゼネラルマネージャー 宮﨑 哲郎 さん           https://www.iichiko.com/

 「日本には世界的に見てとてもユニークなスピリッツ〝焼酎〟があることを、もっと多くの人に知ってもらいたい」。そう話すのはiichiko USAゼネラルマネージャーの宮﨑さん。同社の新商品、アメリカ限定販売のミクソロジー用麦焼酎「iichiko Saiten-彩天」は、バー業界に新風を吹き込んだ。

 日本食・日本酒ブームを追いかけ、焼酎を広めようと米国市場に参入したものの、思うように浸透しなかった。そこには飲食文化の違いという落とし穴があった。日本では居酒屋で食事をしながら様々な種類の酒を楽しむスタイルが主流であるのに対し、アメリカでは食事にはビールやワインなどの醸造酒を合わせ、ウィスキーやスピリッツなどの蒸留酒はバーで楽しむもの。そこで、焼酎をハードリカーの世界で勝負する戦略へと切り替えた。既存の麦焼酎は度数が低くカクテルには不向きなため、新製品を作るところからスタート。日本からの開発チームが、サンフランシスコのトップバーテンダーたちと協同して商品開発に取り組んだ。「当初40度で考えていましたが、もう少し上げたほうがよりエッジの効いたカクテルになるというバーテンダーの意見を取り入れ、43度まで引き上げました」と宮﨑さんは振り返る。こうして完成した彩天は、麹の香りとうまみが強調され、個性が際立つ新しい味に仕上がった。2019年3月の発売から、アメリカのバーテンダーの間で話題を集め、バー業界のアカデミー賞と呼ばれる「Tales of the Cocktail」で全米トップ10 バーテンダーのうち9人が彩天を使ったオリジナルカクテルを提供している。また、同アワードのスピリッツ部門で「Best New Spirit or Cocktail Ingredient」トップ10に選ばれ、ワイン&スピリッツマガジンでは2019年トップスピリッツに取り上げられるなど、評判は上々である。

現在はコロナの影響でバーでの売り上げは落ち気味であるが、バーテンダーとのコラボ企画でカクテルウェビナーやバーチャル工場見学を行うなど、デジタルを活用して商品の魅力を発信している。ワクチンの普及を見込み、2021年第3クオーターからの巻き返しを意気込む宮﨑さんは「ブランドビルディングに10年はかかると思っています。時間をかけてでも、世界における蒸留酒としての焼酎の地位を確立したい。そして、アメリカ限定の彩天が日本に逆輸入され、焼酎ってカッコイイ!と思ってもらえたら素敵ですね」と抱負を語った。

 宮﨑さんおススメの自宅で簡単にできる飲み方は「彩天ソニック」。彩天30 mlにソーダ7:トニック3。トニックで甘みを足すことで味の変化が楽しめる。同社ウェブサイトより、郵便番号で最寄りの販売店が検索できる。オンラインショップでの購入も可能。

  《企業概況ニュース》2021年 01月号掲載