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米国進出を考えるなら、まずペンシルベニアを
レクセルグループ    
CEO  穎川 廉 氏        https://rexcelgroup.com/

 「土地柄が素晴らしい。州の人たちはオープンかつ寛容。水と森が豊富で芸術や文化にも優れ、古都フィラデルフィアを『アメリカの京都』と言う人もおり、はっきり四季を感じられる点は京都と似ていて、日本の人にも暮らしやすいと思います」と話すのは、1993年からフィラデルフィア都市圏に在住の穎川さん。当初パナソニック研究所に開発者として渡米。フィラデルフィアを拠点に南はワシントンDCのFCC(連邦通信委員会)、北はニューヨークの大手テレビ局との折衝にもあたった。州南東部のこの都市圏はビデオ・バレーとも言われ、映像関連企業が集積している。世界最大のケーブルテレビ会社コムキャストもフィラデルフィアに本部を置く。穎川さんによると、アナログテレビ時代は、テレビと言えば日本だった。デジタルに切り替わった後、この都市圏がリードした放送と通信の融合が全米全土に広がり、アメリカのイノベーションは一気に開花。この都市圏から多くの企業が技術提案と放送実現に尽力した。あらゆる分野の産業が根を張り、イノベーション発祥の地となっている大きな理由の一つは、この立地条件と豊富な技術人材であると穎川さんは考えている。近年、市内の旧海軍造船所は一大グリーンビジネスパークに転身。SDGsを重視する大手企業製薬会社GSK、アパレル大手Urban Outfittersなどの本社ビルが入居している。一方で、州南西部に位置するピッツバーグは、米メディア等で「東のシリコンバレー」とも呼ばれ、カーネギーメロン大学圏を中心にAI、ロボット工学、自動運転技術の関連企業とスタートアップの活躍が目覚ましいという。

 2005年からIoTと映像分野のシステムインテグレーターとして日米両国の技術の強みを活かし、顧客と共にイノベーションの実現を推進する事業を開始した穎川さん。大企業にとってはリスクがあり身動きが取りづらい案件も、同社が戦略から遂行までのあらゆるステージで顧客の新製品化に携わっている。台湾生まれ、日本育ち、ペンシルベニア在住の穎川さんの舞台は今もこの3拠点である。例えば、日本企業の企画に東海岸発の米国最先端技術を導入し、同社認定の台湾企業に製造を委託。厚い信頼関係を築いてきた各国企業との協業により、高い技術力と機動力で顧客とチームワークを組み、斬新で良質な製品をスピーディーに市場投入してきた実績は、日本の企業からも高い評価を獲得している。「伝統ある技術力に加え豊富な水資源にも恵まれ、地政学的に高いビジネス戦略価値を持つペンシルベニアです。あらゆる分野の日本企業の進出を楽しみにしています」。

《企業概況ニュース》2021年 03月号掲載