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《日本航空株式会社 JAPAN AIRLINES
米州地区支配人 森岡 清人 氏》

記憶に残る日本航空らしいサービスを提供する
《日本航空株式会社 JAPAN AIRLINES
米州地区支配人 森岡 清人 氏》

日本航空株式会社 JAPAN AIRLINES 米州地区支配人 森岡 清人 氏
今月の人

限られた時間・空間の中で過ごし方の選択肢を増やし、
記憶に残る日本航空らしいサービスを提供する

日本航空株式会社 JAPAN AIRLINES
米州地区支配人 森岡 清人 氏

シアトル─東京路線が復活

2019 年3月 31 日、日本航空は 1992 年 10 月末に運航を休止したシアトル路線を復活させる。ワシントン・オレゴン州などの米国北西部におけるネットワークを強化するため、シアトルを拠点とするアラスカ航空との提携関係を拡大し、強力なパートナーシップ関係にあるアメリカン航空と3社でタッグを組み、この地域におけるマーケットシェア拡大を図る。「アマゾンやスターバックスをはじめ、シアトルに拠点を持つ優良企業のビジネスマンが、北米─アジア間の空を頻繁に移動しています。以前からシアトル線復活のタイミングを窺っていたのですが、ようやくその時が来ました」と 2018 年6月から日本航空米州地区支配人を務める森岡清人さんは路線再開に期待を込める。

北米とアジアを移動する人の目的は様々だ。人の流動を歴史的に見れば、フィリピン、ベトナム、インドと北米の間には、移民者の一時帰国や移民者を頼りにした親族訪問等の大きな生活需要がある。そのボリュームゾーンに加えて、経済交流の拡大により、増え続けるコーポレート顧客の獲得が各航空会社にとって近年、大きな焦点となっている。日本のみならず、その先の東アジア、東南アジアが目的地だが、特に中国の上海や北京、東南アジアではタイ、シンガポール、インドネシア、マレーシアが市場規模が大きく、ハイエンド層の移動が活発に行われているという。この層へとしっかりとアプローチしていく為には、世界各国の航空会社との提携関係拡大が欠かせない。

アメリカン航空との共同事業(JB)が北米戦略のカギ

提携は航空業界における大きな潮流であり、どのキャリアでも提携先選びがグローバル戦略上、重要課題となっている。日本航空は、所属するワンワールドの中でも特に1日 7000 便を運航する世界最大級のアメリカン航空との強い関係を築いている。 2011 年4月から共同事業(JB:Joint Business)を開始しており、両社ががっちりと協力して各路線の収入拡大、サービス向上に全力を注ぐ。
共同事業のキャッチフレーズは『 Your customer is our customer』 ─「現在、アメリカン航空の北米発日本食機内食については、日本航空によるメニュー監修の下、同じケータリング会社で調製しています。また厳しい競争の中で良い顧客の心を掴むには、ハード部分のプロダクトを強化するだけでなく、ソフトであるヒューマンサービスを向上させる必要があるのです。客室乗務員の教育プログラム、アジアのお客様への対応方法など、我々が得意とする部分のノウハウをアメリカン航空に提供し、一方アメリカン航空からは非日系人のお客様への対応方法を学び、お互いが刺激を与えながら協力して太平洋線でのマーケットシェアを拡大する。その最終的なゴールに向けて、お互いが切磋琢磨しながら改善への努力を続けています」と森岡さんは言う。

乗って、まずは体験してもらう

森岡さんにとってアメリカは、2002 年に米州地区販売計画統括として赴任して以来、2度目の駐在となる。2007 年に1度目の任期を終え、日本へ戻ってからは商品・サービス企画やマーケティング企画に関わった。2010 年に経営破綻を経験し、その道は決して楽なものではなかったが、破綻後に路線計画部長に着任し、様々な制約が課せられる中で、日本航空の復活を願いながら、新しい路線ネットワークプランを何度も何度も練り直してきた。今回、約 10 年ぶりのアメリカとなるが、当時に比べると、日本航空の現地でのマーケティング方針は大きく変化したと感じる。例えば、従来はアメリカに住む日本人とその家族の移動に注力してマーケティングプランを考えていたが、今では、非日系企業のコーポレート顧客をいかに増やしていくかというキーワードがそこに加わった。プロダクトの品質、特にビジネスクラス、ファーストクラスの品質には強いこだわりを持つ日本航空。しかし厳しい価格競争下において、この品質力をアピールし、非日系企業に選んでもらうということは、言葉で言うほど優しいことではない。

「自動車の販売においては、運転するという体験がアプローチのカギとなりますが、飛行機をご利用頂くお客様の目的は、移動そのもの。機内では寝るだけという方も多くいらっしゃいますし、この限られた時間・空間でいかに過ごし方の選択肢を増やし、記憶に残る日本航空らしいサービスをご提供できるかが重要なのです。ターゲット層は大方把握出来ていますが、彼らに日本航空という会社を知ってもらい乗ってもらう。このプロセスへと進んでもらうためのアプローチについて、試行錯誤を繰り返しています。企業のトラベルマネージャーへのプレゼンで品質の良さ、高い定時性、運航率などをアピールし、一歩ずつお客様の数を増やしています」。

日本以遠、アメリカ以遠のネットワークが強み

日本航空は成田空港をハブとして、東南アジアへのネットワークを強化している。どの航空会社も北米とアジア間の流動を有望な成長市場とみており、少しでも優位に立つために各社が様々な努力を続けている。ワンワールドでは東南アジアはマレーシア航空とキャセイ・パシフィック航空の2社がネットワークを支えるが、更にこのエリアで欠けているネットワークを補完するため、独自で提携関係を強化している。 10 月 28 日、ガルーダ航空と提携しコードシェアを開始、他にもベトジェットというベトナムのハイブリッドな航空会社と提携するなど、東南アジアでのネットワーク強化を着々と進めている。また、南米に目を向ければ、ブラジル側もチリ側も南米の拠点ほぼ全てを網羅するラタム航空という強いパートナーを持つ。これは、他アライアンスにはない強い武器である。もちろん北米においては、アメリカン航空の強力なネットワークを利用できる。「2020 年に羽田空港の発着枠が広がります。便数にして 50 便のうち半分を日本の航空会社、残り半分を非日系航空会社が使用できる予定です。成田と羽田を東南アジアへの乗り継ぎの中継地点として、北米、そして中南米との間を繋ぎ、ワールドワイドに活躍されるビジネスマンの方々にとって信頼出来る航空会社としての地位を固めていきたいと願っています」。

日本航空では、これまで米州地区支配人がニューヨーク支店長を兼任する形を取ってきた。 2018 年6月から、米州地区支配人を森岡さんが担い、そしてターナー・メイナーさんがニューヨーク支店長兼米州地区副支配人に着任した。「日本航空の歴史の中で、非日本人の海外支店長就任はターナーが初めてとなります。彼は 20 年以上日本航空に勤務しており、日本本社の国際提携部担当部長として、ワンワールドの委員会に出席したり、他航空会社との提携交渉にも関わってきた人材です。過去には当社米州地区の空港業務統括を務めた経験もあります。今後の我々の戦略である非日系マーケットへの認知拡大という部分でも、大きな役割を担ってくれると期待しています。私は、この米州地区全体の責任者として事業運営をしっかり取りまとめ、米州地区で働く全社員の物心両面の幸福を追求していく。そして、社員がお客様に最高のサービスをご提供し、社会の進歩発展に貢献できるよう、環境整備をしてまいります」と締めくくった。

《企業概況ニュース 2019 1月号掲載》
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