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米国自動車市場を知るうえで「おさえておくべき」ポイント

 2001年に設立され、自動車業界に特化した情報サービス、B2Bのプロモーション支援サービスおよびコンサルティング、人材紹介、市場予測データ販売、部品調達代行等、6つのサービスを柱に自動車産業ポータルを運営するマークラインズ。アメリカには営業・調査拠点として、デトロイトにオフィスを構える。同社の情報プラットフォーム事業本部所属の安達さんに、アメリカ自動車市場を知るうえでポイントとなる指標と米国自動車市場のトレンドを伺った。

米国で不動の人気ピックアップトラック

 「アメリカの自動車市場は、今どうですか? と聞かれたときに、コレだけ押さえておけば大丈夫、という指標があるのはご存知でしょうか」と安達さん。「ビッグ3のピックアップトラック、GM Silverado、Ford F-Series、FCA Ram pickupの自動車販売台数の変動さえ把握しておけば、現在の米国自動車市場が分かります」。アメリカで不動の人気を誇るピックアップトラック。ピックアップトラックの主要3車種の販売台数が多くなれば、米国自動車業界は景気が良いということになる。ところが、現在その自動車販売台数情報は一般的に得ることが難しい。

自動車販売台数情報が得づらくなった理由

 2018年の4月以降、GM社が販売台数を非公開としたことで他社もそれに追随し、車種別の詳細な台数実績を知ることが難しくなった。なぜ、米国自動車メーカーは販売台数を開示しなくなったのか。それには自動車メーカーと、販売するディーラーとのパワーバランスが影響していると安達さんは説明する。「米国の自動車小売りは、例えばひとつの店に色々なメーカーのクルマが販売される、1店舗マルチブランド販売が主流です。日本と比べ、メーカーとディーラーの力関係はディーラーにやや優位性があり、自社ブランドを多く販売してもらいたいメーカー間でインセンティブ競争が起こりやすい環境であるため、メーカーに対して一定の発言力を持っています。また伝統的に在庫販売が主流の米国ディーラーでは、リセール価値の変動がそのまま自社在庫(資産)に直接的な影響を与えます。リセール価値の低下を危惧するディーラーがメーカーに対して販売台数非公開の圧力を掛けています」。現在は、コロナ禍の影響による在庫不足でメーカー側がインセンティブ幅を少なくする動きがあるものの、立場が優位なディーラーからの台数非公開の要求をメーカーが受け入れている状況がある。こうした事情を抱える自動車販売台数情報だが、マークラインズが公開する推計値はこれまで近似値を保っているという。

これから追うべき指標

①「米国在庫日数」

 マークラインズでは毎月車種ごとの在庫日数(Days Supply)をモニタリングしており、11月時点で米国市場の在庫が100万台を割り込み、在庫確保がディーラーの最大の関心事であると伝えている。また11月30日時点でトヨタの在庫日数は18日、スバルでは5日と切迫していることを報じている。安達さんは「在庫水準を低めに設定していた企業は在庫水準を見直す動きが出ています」と話し、これまでの〝ジャスト・イン・タイム(有事に備え部品を一定量持つ)〟から〝ジャスト・イン・ケース〟の発想で在庫管理を考える必要があると専門家たちが指摘していると付け加える。

② 「EV市場浸透率」

 またEV自動車の市場浸透率も今後益々見逃せない数値である。「現在2%未満の米国EV浸透率ですが、米国政府のEV推進方針に伴い今後10年で30%〜35%程度まで、EV車の市場シェアが上昇していくという予測もあります」。

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 「自動車業界の人ならマークラインズを知らない人はいません」と言う安達さん自身も、前職では同社のプラットフォームを利用する立場だった。同社が持つ膨大な価値あるデータを使いきれないという人たちに、如何に有効活用してもらえるか。グローバルな啓蒙活動に日々奔走している。

 

マークラインズ
情報プラットフォーム事業本部
グローバル営業2部

安達 孝政さん 大澤 雄也さん

https://www.marklines.com/

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