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《ニシヤマラーメンUSA》

札幌味噌ラーメンは、世界に誇る食文化
《ニシヤマラーメンUSA》

ニシヤマラーメンUSA Inc.
代表取締役   川上 幹雄 さん
http://www.ramen.jp

 2021年11月半ば、ニューヨーク・スタテン島のエルティングビル(Eltingville)に一軒のラーメン店「Ohkami (女将)ラーメン」がオープンした。店の看板メニューは味噌ラーメン。注文が入ると、具のもやしを強火で一気に炒め、スープを一緒に焙煎する。勢いよく炎が上がり、ジューという音とともになんとも香ばしい薫りが漂ってくる。この五感を刺激するライブ感も売りのひとつだ。オーナーは日本料理店を数店舗経営するが、ラーメン店は初となる。今回、頼もしい協力者のサポートを得て、開業が実現した。

今日の札幌味噌ラーメンの中太ちぢれ麺を開発した西山製麺

 開業をサポートしたニシヤマラーメンUSA。一見ラーメン店のようだが、札幌に本社を持つ西山製麺の米国法人で、札幌で製造した生麵を輸入販売している。地下200メートルから汲み上げる札幌の良質な雪解け水を使用した多加水熟成麺は、同社が札幌味噌ラーメン専用に開発したもので、もちもちした食感の中太ちぢれ麺が味噌ラーメンによく合う。「本場の水を使った本場の味にこだわっているので、アメリカ国内では製造していません」と代表の川上さんは説明する。

 札幌味噌ラーメンの始まりは終戦直後まで遡る。当時、麺の美味しさから大繁盛していた屋台のラーメン店「だるま軒」で製麺部門を担当していた西山孝之氏(西山製麺創業社長)が、同じく屋台で味噌ラーメンを初登場させた「味の三平」の味噌ラーメン用として、卵入りでウェーブのかかったアシ(伸び=しなやかさ)コシ(弾力=力強さ)が強い生ラーメンの開発に成功した。こうして、現在まで親しまれている札幌味噌ラーメンが完成し、その一端を担った西山製麺は、その後も一途に札幌ラーメンの発展に貢献し続けてきた。 

ラーメンのイロハと札幌の食文化を伝える開業・繁盛支援

 同社はラーメン店開業支援に力を入れている。札幌本社と連携し、米国内の開業希望者に、地元でのオンリーワンのラーメン店として繁盛することを共に目指して、調理実習、メニュー開発、店舗づくりやブランディング、プロモーションまでサポートする。調理実習では札幌本社の実習室に世界各国から人が集まり、札幌ラーメンのイロハを学ぶ。女将ラーメンオーナーも札幌まで研修に行った一人だ。「札幌のラーメン文化を理解し、本場の味をお客さんに提供したいという想いのある店主さんと共に札幌ラーメンを広めていきたいと我々は考えています。ですから、既存店にただ麺を卸すということは基本的にしません。アメリカへ進出して5年になりますが、ほぼすべて新規開業店で一からサポートを行いました」と川上さん。DCの大鍋屋、ボストンの頑固一鉄、ニューヨークの麵恋佐藤など、米国内で現在約20軒のラーメン店へ麺を直売している。

札幌ラーメン文化をもっと世界へ届けたい

 ラーメンは日本食であり、札幌味噌ラーメンは札幌が育んできた文化そのもの。その食文化を世界へ広めること、それが西山製麺が目指すものだ。1店舗1店舗、時間はかかっても、札幌ラーメン文化への理解を深め、店主から客へ、そして札幌から世界へ、世界に誇る食文化を届けていく。「ブームは来た瞬間から過ぎていくけれど、文化は残ります。ブームを作るのではなく文化として根付かせる。そして世界各地で札幌味噌ラーメンを食べた人が、札幌を訪れたいと思ってくれたら、一つ役目を果たせたことにりますね」。

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