Home > Featured > 駐在帯同者の〝働く〟を考える

 米国移民局(USCISの方針転換により、駐在配偶者の就労状況が大きく変化した。これまではI-9リストCの就労資格証拠書類として就労カードの提出が求められてきたが、EとLビザの配偶者は就労カードがなくても就労できるようになった。こうした状況に対し、総合人材会社クイックUSAのCEO山田幸生さんは、働きやすくはなったことは間違いないが、これまでの状況が一気に変わるにはいくつかの課題があると言う。

 一つ目は、駐在員規定となる。海外各地に拠点を持つような大手企業では、グローバルに平等なルール作りが求められ、アメリカだけは例外ということが難しい。リスクマネジメントの観点もある。アメリカであれば、配偶者がどこの企業で働いても重大な危険に晒されることは少ないが、中南米やアフリカでは、誘拐や強盗に遭うリスクが一気に上がる。そうなった際の責任は誰が取るのか─企業としてのコンプライアンスが求められることになる。

 次の課題となるのが、各種手当についてだ。配偶者は赴任先で働けない代わりに〝家族手当〟や〝住居手当〟と称した手厚い手当が支払われる場合がある。大手企業であれば、配偶者の車や語学学校費用までを負担する企業もあるが、収入が発生するのであれば家賃などを企業側で負担する必要はないのではないかという議論もある。また、配偶者の収入が発生すれば世帯年収も上がり、税率も変わり、確定申告等の税金が絡む手続きも複雑化する。これまでなかった駐在員規定をグローバル単位で制定する労力や時間も小さくない。

 こうした状況下、クイックUSAでは、働きたい駐在帯同者の就職サポートも行う。駐在期間は通常3〜5年程度と考えると採用側も正社員採用が難しく、派遣としての紹介が中心となる。注目するのは労働ビザが問題なく取得できるかどうか。万が一トラブルが起きた際に、元のビザスポンサーである企業に迷惑が掛からないよう、重要なポイントを一つずつクリアしながら採用企業と求職者を繋いでいく。

《取材協力》
クイックUSA
CEO 山田幸生さん
https://www.919usa.com

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