Home > US Living > CAREER > 第二回 Purpose:プロジェクトの意義目的の明文化と浸透

今回から、ケンブリッジが考える変革の正攻法「4+1のP」をそれぞれ深掘りし、どのように実現していくのかを解説していきます。

 1つ目のPは「Purpose」です。ポイントは2つあり、①Whyから考えることと、②経営者へのトップインタビューで見える化を図ることです。

①Whyから考える

 変革プロジェクトを推進する際、ケンブリッジでは「ゴールデンサークル」に沿って、Why、How、Whatの順番で考えます。

 クライアントの皆様からご相談を受ける際、What (具体的に何をするか)、またはHow(どの手段・手法でやるか)に偏重しているケースをよくお見掛けします。

・Whatのケース例:「XXというERPパッケージを導入したい」
・Howのケース例:「今流行っているアジャイルでやりたい」

 ここに変革の目的となるWhyが加わることで、やる意義のはっきりしたプロジェクトになります。

・Whyのケース例1:「US市場が見直される今、乗り遅れると生き残れない。でも旧態依然の仕組みは限界なので、変わらねば!」
・Whyのケース例2:「魅力的な企業にならないと人材が集まらないので、変わらねば!」
・右記例のように、Whyが明文化されていると、チーム内でプロジェクトの意義目的が浸透し、変革が成功しやすくなります。Sense of Urgency(なぜ、今やらないといけないのか)も含まれていると、よりチームの「やらねば感」を刺激できます。

 皆さんが変革プロジェクトを推進する際も、Whyから考えてみましょう。

経営者へのトップインタビューでPurposeの見える化を図る

 プロジェクトのPurposeはリーダーからトップダウンで来ることもあれば、現場からボトムアップで湧き上がることもあります。しかし、会社の目指している姿や、プロジェクトへ期待されることをより理解するためにも、経営者とのトップインタビューは欠かせません。ところが、いざ経営者インタビューとなると…

「普段何となく聞いてるけどなぁ」

「正式にインタビューを申し込むなんて…恐れ多くて、聞きづらい」なんて声を聞きます。ただ、ここを避けてしまうと「プロジェクトで達成したいことは、経営者の頭の中にだけある」状態となり、明確なゴール地点が見えないまま走ることになります。結果「なんでこのプロジェクトやってるんだっけ?」と途中でモヤモヤし、とん挫してしまうプロジェクトを数多く見てきました。

 また北米では、駐在のトップだけではなく、社歴の長い現地のキーパーソンからもサポートを得ることが大事です。何かを変えようという取り組みを日本人だけでやっていると「現地にとって不利なことを企んでいるのでは」と猜疑心が生まれかねません。プロジェクトの早いタイミングで、現地で影響力を持つキーパーソンにもインタビューを実施しましょう。

 トップの頭の中にある考えを見える化するのは、なにも綺麗な資料である必要はありません。まずは箇条書きで羅列するだけでも構わないので、気負わずにやってみましょう。

 次回は2つ目のP、「 People:組織横断でOne Teamとなれるプロジェクトチーム」をご紹介します。お楽しみに!

 

《執筆》
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ

ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズは在米日系企業の業務改革、IT 戦略立案、DX に必要なコンサルティングサービスを提供しています。あらゆる変革の立ち上げから導入までを円滑に進める方法論とバイリンガルファシリテーションを武器にプロジェクトを成功に導きます。日本では 2015 年以来「働きがいのある会社 Top 10」に選出され続けています。http://www.ctp.com

ティンダル 玲子(てぃんだる・れいこ)
大手コンサルファーム・事業会社、米国大学院留学を経て、2020年ケンブリッジ米国法人入社。大手グローバル製造業のERP導入(SAP 財務会計)、組織再編に伴う経理業務移行支援、クリーンエネルギーに係る新事業戦略立案支援などに従事。米国・ドイツ・日本でプロジェクトを7年経験。

 

 

《企業概況ニュース》2023年4月号掲載

 

《連載》会社を変える!明日から使えるファシリテーション術

連載① 駐在員が苦しむ「結果が出にくい構造」
連載② 「決まったこと」と「やるべきこと」を確認する
連載③ 終わり方を決めないと始められない
連載④ 会議は4つのPで準備せよ
連載⑤ あなたのチーム、ただの『ヒトの集まり』になってませんか?
連載⑥ チームの成功と成長をもたらす黄色い旗
連載⑦ 対話の相手を尊重した4つの振る舞い

連載⑧ 過去を振り返り、未来へ活かすサンセット
連載⑨ 「理由ある抵抗」と真摯に向き合え

連載⑩ 「隠れた抵抗」を見逃すな
連載11 「隠れた抵抗は「共感と共有」でケアせよ
連載12 Have fun!

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