Home > Featured > 空調業界の2大トレンド《DAIKIN US CORPORATION》

 

 

 

IAQニーズの高まりとカーボンニュートラル達成に向けた空調技術の革新

DAIKIN US CORPORATION
Senior Vice President   ディカラブさん

http://www.northamerica-daikin.com/

 新型コロナのパンデミックにより、室内の空気質(Indoor Air Quality:IAQ)を改善、維持するための製品が注目されている。また、米国は家まるごとの空調に対し、日本は部屋ごとの個別空調がメインだが、効率性・快適性の面から、日本式の空調への関心が高まっている。空調やIAQに関する製品、ソリューションに力を入れ、より良い空気を届けるために日々研究開発に取り組むダイキンUS社にお話を伺った。

Q. 新型コロナは空調業界にどのような変化をもたらしましたか?

 パンデミックは空調業界にも大きな影響を及ぼしました。家で過ごす時間が増えると、室内の快適性のために消費者の冷暖房に対する関心が高まりました。また、空調システムは快適性だけでなく、病院や医療機関のような重要な公共施設、K-12の学校のような重要なインフラにも、有益な換気とエアフィルタ(空気のろ過)を提供するなどの役割があります。実際、CDC(米国疾病予防管理センター)はコロナウイルスへの曝露の可能性を減らすためには、フィルタと換気を改善することが重要だと指摘しています。

 このパンデミックは業界にとって試練となり、企業は顧客、政府機関、業界団体などのステークホルダーとより強固な関係を築くことが求められました。事業を継続するために、我々のグローバルな供給ネットワークをどう利用するか、これまでとは異なる考え方を迫られ、従業員や製造工場を守るための業務手順の変更も必要でした。お客様や重要なインフラへのサービスを継続しながら、これまでになかった様々な規制や安全手順を遵守しなければなりません。サプライヤー、ディーラー、サービス担当者など、業界全体が迅速かつ慎重に対応した結果、サプライチェーンがコロナパンデミック以前の状態にまで回復したことは誇りに思っています。

Q. 新たな市場のニーズに対するダイキン製品の強みは? 

 ダイキングループでは、住宅用、商業用、産業用の幅広い製品とソリューションを製造・提供しています。これらの製品やソリューションは、市場全体のさまざまな要求や各々の市場の特有のニーズに応えるように設計されています。

 自宅で過ごす人が増える中、ホームオフィスなどの個別の部屋向けにミニスプリットシステム、家全体の包括的なソリューションにはインバータを使ったエアコンとヒートポンプなど、快適性とIAQの幅広いニーズに応えるソリューションを提供しています。またIAQへの関心が高まる中、MERV規格のフィルタ、空気清浄機、換気装置を含むあらゆる製品を提供しており、これらのシステムは、当社独自のコントロールエコシステムである「ダイキンワン」ひとつでコントロールでき利便性も兼ね備えています。

 オフィス、学校、小売店、レストラン等に人々が仕事に戻り始める中、ダイキンはビルのオーナー、オペレーター、施設管理者にアメリカ暖房冷凍空調学会(ASHRAE)やCDCのフィルタ・換気ガイドラインを満たすソリューションを提供することに重点を置き、建物の準備状況を評価する包括的な空調システム評価プログラムを行っています。

Q. バイデン政権が掲げる気候変動対策に、ダイキンはどう向き合い貢献していきますか?

 アメリカは2050年までに経済全体でのCO2排出量をゼロにすることを目指して、バイデン政権の発足初日にパリ協定に再加盟しました。ダイキンも製品のライフサイクル全体で温室効果ガスを削減し、2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目指しています。

 アメリカでは連邦政府や州・地方都市レベルで気候変動への取り組みが盛んに行われています。ダイキンは、バイデン政権や米国エネルギー省(DOE)と協力して、セントラルエアコンやヒートポンプのエネルギー効率基準を改善していきたいと考えています。当社のヒートポンプ技術は、ニューヨークの「Climate Leadership and Community Protection Act」の2050年までに温室効果ガスの排出量を85%削減するという目標や、カリフォルニア州バークレー市の新築の建物での化石燃料の使用を禁止するという環境目標を達成するための鍵となる技術です。

 エアコンは大量の電力を消費するなど、地球温暖化の要因になってしまいます。ダイキンは、米国環境保護庁(EPA)と協力して、空調システムに使われる冷媒を、エネルギー効率や性能を犠牲にすることなく、地球温暖化係数(GWP)の低い冷媒に移行する取り組みをアメリカで進めています。また、インバータ技術などの省エネ技術を

用いたり、エアコンとその周辺機器、そして建物を組み合わせた省エネソリューションを提供したりすることで、製品が持つ環境負荷を軽減することに注力しています。

Q. ダイキンの目指すゴールとは?

 ダイキンは世界中の人々に快適な空気環境を提供するとともに、地球温暖化の影響を可能な限り軽減することをミッションとしています。世界最大の空調企業として、アメリカの空調業界に持続可能性とクオリティ・オブ・ライフの新たなスタンダードとなる革新的な技術を開発し続けています。

 また、政策や規制面からも環境問題解決のために働きかけています。例えばインバータ搭載のヒートポンプの使用と併せて電化政策を推進したり、アメリカの一般家庭がより高効率の冷暖房システムにアップグレードするとインセンティブが得られるよう提唱しています。ダイキンの技術と様々なステークホルダーとのコラボレーションを通じて快適な室内ソリューションを提供しつつ、より高い省エネ性や環境負荷軽減のためのコードや規制を作ることを目指しています。

 

《建設業界特集》
▶︎海外でも日本の〝竹中マインド〟を忘れない《TAKENAKA CONSTRUCTION ENGINEERING (U.S.A,). INC》
▶︎オープンイノベーションで建設現場のDXを推進《TAK-GRIT, INC.》
▶︎顧客の課題解決に寄り添うプラスチック開発のフクビ《FUKUVI USA, INC.》
▶︎ バランスの取れた ハイテク樹脂「MSポリマー」が勢力図を変える《カネカ・ノースアメリカLLC》
▶︎ 空調業界の2大トレンド《DAIKIN US CORPORATION》

《企業概況ニュース9月号 vol.272掲載》

You may also like
人事・備忘録 第五回
ワクチン接種における強制・非強制の攻防
《HRM PARTNERS, INC.》
経営者視点で考える
コロナウイルスとの付き合い方(後編)《峰 宗太郎さん》
経営者視点で考える
コロナウイルスとの付き合い方(前編)《峰 宗太郎さん》
食品SPAのサンクゼールが消毒用アルコールを生産
医療機関へ2,000本寄付(オレゴン)