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太平洋路線の旅が、よりシームレスに!
《デルタ航空 横澤昭徳 氏》

大韓航空との共同事業(ジョイントベンチャー)で、
太平洋路線の旅が、よりシームレスに!
《デルタ航空 横澤昭徳 氏》

 2018年3月末に米国および韓国の規制当局の承認がおり、6月からデルタ航空と大韓航空の共同事業(JV)が動き始めている。全路線でのコードシェアにより、北米とアジアを結ぶ旅がよりシームレスになり、北─アジア路線網の徹底的な見直しにより、お互いの強みを活かした最適な太平洋路線ネットワークを構築していく。

 デルタ航空ではこれまでも、欧州ではエールフランス、KLM、アリタリア、バージン・アトランティックなどと、そして中南米ではエアロメヒコやブラジル・ゴル航空とのJV事業や提携を進めてきた経緯を持ち、こうした経験や成功体験がアジア太平洋路線にも活かされている。

JVにより、顧客利便性の拡大

 デルタ航空と大韓航空ともに2000年のスカイチーム創業メンバーだったこともあり、20年近くに渡る提携関係から今回の共同事業へと発展した。ITシステム統一、共同セールス&マーケティング、主要ハブ空港の施設共有などを進めることで、「太平洋路線の拡充」「フライトスケジュールの利便性向上」など、利用客へのメリットを最大限に拡大させていく。マイレージプログラムにおいても、デルタ航空の「スカイマイル」と大韓航空の「スカイパス」の相互特典が改善されより多くのマイル獲得ができるようになった。

 今回のJV提携によって、デルタ航空と大韓航空のUS─アジア間でのマーケットシェアは約25%で業界トップとなる。デルタ航空の今年の年間搭乗者数は昨年から10%増え初めて2億人を越える予定。北米の航空会社ということもありアメリカ人利用者数は多いが、これに加えてアジアエリア拡大に向けた強力なパートナーを得た形となった。

太平洋路線が拡充

 利用者側の最大のメリットは、やはりデルタ航空と大韓航空両社の路線網をシームレスに活用できることだろう。デルタ航空はアトランタ、デトロイト、シアトルの3つのゲートウェイ空港からアメリカ大陸290以上の都市へ、そして大韓航空は仁川空港から日本への15路線のほか、中国、フィリピン、インドネシア、マレーシアなどアジア各都市合計80以上へと向かう充実したネットワーク網を持ち、これらを活用することで、空の旅の選択肢は格段に増える。

 例えば、アトランタ─仁川便では、デルタ1便、大韓航空1便をどちらも同じ時間帯に運航してきたが、JV提携後は、昼と夜に1便ずつ分散させることで各自の予定に合った便を選択できるようにした。また今回のJV事業の一環として、2019年にデルタ航空がシアトル─関空便を就航、大韓航空でも仁川─ミネアポリス便や仁川─ボストン便の運航を開始する。これで一年間だけで3路線の新規就航が一気に可能となることになる。「お互いの航空会社で乗り継ぎ便のご利用が急増しています。デルタ便をいつもご利用頂いている方が仁川から先は大韓航空に乗られたり、大韓航空便をご贔屓にされていたお客様が、アメリカ本土に入ってから米国各都市へと乗り継がれるなど、その利便性を大いに感じて頂いています」とデルタ航空の国際営業部長を務める横澤昭徳さんは言う。

西日本への旅が、格段に便利になる

 日本行きに目を向けると、大阪より西側のエリア、特に福岡や大阪、沖縄などの各空港を最終目的地とする利用者に大きなメリットとなる。最終目的地が東京首都圏や愛知周辺の場合は、成田や羽田、中部国際空港などへの直航便という選択肢がベストかもしれない。しかし、アメリカから仁川空港を中継して、そこから西日本各都市へと向かう選択肢を選べるようになる。これまでは成田・羽田などをハブとして他航空会社へと乗り継ぐ選択肢しかなかったが、そこに新しい選択肢ができた。JVの提携便を利用することで競争力が高まり、料金も比較的安く抑えられるといったことも魅力だ。

 また、昨年2月にオープンしたばかりの仁川国際空港第2ターミナルの利便性も高い。最新設備を備えたこのターミナルでは、国際便と国際便の乗り継ぎを45分でスムーズに行える。「日本行きのお客様に新しい選択肢をご提案でき、また非常にそのメリットを感じて頂けるのではないかと思っています」。

新サービス「デルタ・プレミアム・セレクト」や新機材など続々導入

 太平洋路線の増強に向けて、新機材も次々と投入していく。新機種エアバス350の導入の他、既存の777便の座席も入れ替えが順次進められている。ビジネスクラスにはスライド式のドアで個室になる「デルタ・ワン・スイート」を導入。6月には大幅な機内食メニュー見直しも行われ、ミシュラン2つ星を獲得した「大阪 一汁二菜 うえの」の上野シェフ監修による味わい深い和食が空の上でも楽しめる。

 また、エコノミーとビジネスの間に「デルタ・プレミアム・セレクト」という新たなサービスが登場した。通常横9席のスペースに8席とし、全48席で深いリクライニングとレッグレストを確保した。また独立キャビンとなるため2つの専用トイレが設置され、いつでも綺麗なトイレが使える。このクラスは、昨年「デトロイトー成田便」に初導入されたが、現在でも搭乗率が常に9割以上と好評となっている。「お値段もお手ごろな設定となっておりますので、ビジネスマンだけでなく、家族連れの方にも多くご利用頂いております。機内食も専用の特別メニューをご用意しておりますので、長い空の旅をお楽しみ頂けます。

 第2弾としては、昨年11月1日に「ミネアポリス─羽田線」、今年3月に「アトランタ─成田便」「シアトル─成田便」、4月に「ロサンゼルス─羽田便」と、対応路線のほぼ全便に順次切り替え導入を予定しております」と横澤さんは今後の展開について説明してくれた。

顧客フィードバックをひとつずつ実現化

 北米の航空会社では、顧客からの推薦割合を示すネット・プロモーター・スコア(NPS)の数値を重要視する。デルタ航空では「アメリカ市場で+40」と、他の航空会社を大きく引き離した良いスコアを獲得しており、利用者の満足度の高さが伺える。その背景にあるのは、同社が顧客フィードバックに真摯に耳を傾け、常にサービス向上へと取り組む姿勢がある。今回のJV事業や新機材の導入はもちろんだが、客室乗務員のユニフォームや機内食の一新、全路線でのLINEやメッセンジャーを含むテキストメッセージの無料化、機内エンターテイメントの充実化など、随所にデルタ職員の想いが込められているのだ。

 「アメリカ人の日本への観光需要も拡大しています。インターネット情報を頼りに興味を持った地方都市へと足を向けるアメリカ人も増えているようですが、デルタ航空では中部国際セントレア空港と組み、名古屋から昇竜洞や高山といった中部地方の観光名所を回るツアーをプロモーションするキャンペーンを組んでいます。来年4月にはシアトル─関空便を再就航させる予定ですので、近隣の大阪や京都にフォーカスしたプロモーションも検討したいですね」。

 「2020年の東京オリンピック前に、羽田国際便の発着枠が若干数増やされる予定ですが、デルタ航空としては、ここでより多くの羽田発着枠を獲得して現在よりも多くの便を羽田へと乗り入れたいと考えています。この結果次第で、今後のデルタ航空太平洋路線の戦略が決められます。前回の交渉は残念な結果となりましたが、アジア圏については、今後も大韓航空とのJV事業を拡大、また中国東方航空との提携関係も同時に強化させ、仁川、上海、羽田、成田の4つの空港を上手く活用しながらネットワークを拡大させていく計画です」。

 

 

 

 

 

 

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