Home > Featured > 企業が直面する 売掛債権への懸念
Coface North America
Co-founder & Head of Japanese Solutions 御法川 純 さん           

 コロナの影響で経済停滞の長期化が予想される中、取引先が倒産したり、資金繰りが悪くなり、代金の回収ができなくなるなど貸倒損害へのリスクが高まりつつあります。それら売掛債権リスクに対してどのような対策が打てるか古典的なリスクマネジメント手法であるRetention (保有)、Reduction (軽減)、Transfer(転嫁=保険)、Avoidance (回避)を基軸にシミュレーションができればと思います。

 企業情報が限定的、または財務内容の悪い企業に長い決済期間と巨額の与信を付けるのは発生頻度と損害額の観点からしてもリスクが高く、それらのビジネスを「回避」するのは真っ当な判断だと思います。一方で、これまでは、企業情報は限定的だが、取引規模を抑えるのであれば、リスクを「保有」しながらそれらの企業と取引きする事も考えられたかもしれません。しかし、利益率が5%の取引先に$10,000の焦げ付きが発生した場合、それは$200,000相当の売上に値する為、新たに利益を出そうとすると、その倍の$400,000の販売を強いられる事になります。このご時世、多くの企業にとって売上を伸ばすのは大変な事と思われ、どこまでリスクを保有するかは各企業の新たな課題になっています。

 取引信用保険を利用して、リスクを保険に「転嫁」させるのも重要な対策だと思いますが、コロナの影響で、多くの保険会社のキャパシティーに制限が出てきている事も念頭に置いておく必要があります。発生頻度や損害額を「軽減」させるため、Credit Control Procedure・与信管理手続きの見直しも重要になります。取引先の情報を収集し直したり、権限レベルの確認、意思決定プロセスの見直し、決済期間延長時、未収債権発生時に誰がいつまでに何をすべきかなど、在宅勤務で社員間の連携に制限が出ている中、それらの明文化、見直し、強化をされる良い機会かもしれません。

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