上方落語 噺家
桂三輝(サンシャイン) さん
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オフブロードウェイの劇場「New World Stages」に、噺家 桂三輝(サンシャイン)さんの豪快な笑いが戻ってきた。落語の魅力を世界へ広めたいと2013年秋の北米ツアーを皮切りに、2019年9月、ニューヨーク公演に乗り出し、その6ヶ月後にロンドンとの二都市同時公演をスタートさせようかという時、コロナ感染拡大によるロックダウンに見舞われた。
見台、膝かくし、提灯、着物や座布団と寄席の道具は全て楽屋に残したままの休演となったが、劇場のオーナーもニューヨーカーも本当に温かく今回のサンシャインさんの再出発を祝ってくれた。気づいたのは、当たり前だと思っていた〝友達や家族との時間〟が、実はものすごく貴重なのだということ。いつ、またパンデミックに遭遇するか分からない中、こうした〝当たり前〟ができるまでに回復した現状に、心から感謝をしているとサンシャインさんは言う。
このニューヨーク公演再開に先駆け、昨年12月からロンドンのウエストエンド公演をスタートさせており、今後は、週1でニューヨーク公演、月1でロンドン公演、その間に東京での活動を行う過密スケジュール。しかし、以前に比べて格段に〝チャンスに対する貪欲さ〟が増したのだとサンシャインさんは言う。その言葉が示すように、岡山デニムを使って自らデザインした羽織や着物を販売したり、イギリスのラップアーティストと組んだ古典落語にまつわる英語ラップ音楽を制作したりと、公演以外にも常に忙しい状態が続く。
また、ユーチューブやインスタグラム、ティックトックと落語の相性の良さにも注目し、今年中には、ネットフリックスのスタンドアップコメディ・セクションに「RAKUGO」の名を連ねたいとプランを練っている。どの活動も、この2年がなければ生まれなかったアイデアだ。
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「久々に訪れたニューヨークシティは、100%復活とは言えませんが、ここにはパワーが漲っています。ニューヨーカーはものすごく明るく前向きですし、夢やアイデアを持つ人に対しても手を差し伸べてくれる。もちろん腹が立つこともたくさんありますが、ブロードウェイは自分にとってのパワースポットであり、ここほど元気をもらえる街はありません。コロナで世界中に広まってしまった悪い空気を落語の明るさで吹き飛ばし、そして世界中に笑顔を与えたい。笑いは健康にいいのです、そして桂サンシャインは死ぬほど面白いんです」とサンシャインさんは笑顔を見せた。