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【帝国ホテル】125年間受け継がれる“おもてなし”マインド

【帝国ホテル】125年間受け継がれる“おもてなし”マインド

企業概況ニュース 2016年3月号掲載

ニューヨークセールスオフィス・ディレクター 鮎川 啓氏

昨年11月に開業125周年を迎えた帝国ホテルは、一度は泊まってみたい、日本を代表する高級老舗ホテルだ。明治23年、日本に今までなかった初の本格的な西洋式ホテルとして、海外からの賓客をもてなすために国の威信をかけて誕生した。おもてなしを大切にする開業の精神は現在まで受け継がれ、今なお帝国ホテルファンは多い。

「2020年の東京オリンピックまでには、本来の姿である外国人客と日本人客の比率を50:50の最適値に戻します」と鮎川氏。今はまだ日本人客のほうが多いが、継続する円安傾向や、これから訪れる東京オリンピックへの機運の高まりの波を逃さず、外国人客の誘致に励む。1996年開業の帝国ホテル大阪では近年、アジア系のゲストが多く宿泊する。アジア人に人気のユニバーサル・スタジオ・ジャパンのアライアンスホテルになっていることや、関西空港にアジアからのLCC航空便が多く発着することもその追い風だろう。また米国からの訪日観光客が初めて100万人を突破し、日本への関心の高まりが期待できる今は、帝国ホテルを米国でもっと知ってもらえるチャンスの時と捉え、知名度を上げるPR活動を活発化させていきたいと鮎川氏は言う。

「日系ホテルが米国にチェーン展開するという業界の流れも見られますが、帝国ホテルはサービス基準とブランド価値を希釈しないという方針のもと、海外への進出は意識していません。他国展開できたら、もちろんその国での知名度は上がるかもしれませんが、それ以上にサービスクオリティを維持することを優先し、海外でそれが実現不可能なうちは海外展開をしないというのが経営層の考えなんです」。

この帝国ホテルのサービス力に対する徹底した意識は、リピーター率の高さからも伺える。いつ行っても期待を裏切らない同じサービス、対応、安心感を提供してくれる帝国ホテルにリピーターは愛着を持ち、そのようなゲストのための会員制度も充実している。

「東京オリンピックまではこの調子で登り坂でお客様が増えていくだろうと期待していますが、勝負はオリンピック終了後だと思っています。それまでの客数をいかに維持していけるか、今から手を打って対策に取り組んでいかないといけませんね」。

これからますますオリンピックに向けての訪日観光需要に沸く日本。しかし、すでに終了後を見据えたその先の戦略こそが、その後の明暗を分けることになるだろう。