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《YKKコーポレーション・オブ・アメリカ編》

米国パソナ主催ウェビナー・エグゼクティブ対談シリーズ
《YKKコーポレーション・オブ・アメリカ編》

米国パソナのプレジデント・古代賢司氏が、様々な業界のエグゼクティブと対談し、日系企業の今、そして未来について深堀りしていく人気のウェビナーシリーズ。第26回目の今回は、ジョージア州に拠点を置くYKKコーポレーション・オブ・アメリカのVice President、Jessica Cork(ジェシカ・コルク)氏をお招きし、米国におけるESG/サスティナビリティ活動の現状と課題、パーパスドリブンな組織文化作りに欠かせない取り組みについてお話していただきました。その一部をご紹介します。

YKK Corporation of America
Vice President, Community Engagement and Corporate Communications
ジェシカ・コルク 氏 Ms. Jessica Cork

YKKコーポレーション・オブ・アメリカのコミュニティ・エンゲージメントおよびコーポレート・コミュニケーション担当バイスプレジデントとして、カナダからチリにまたがるYKKアメリカズグループの社内外コミュニケーション戦略の立案、開発、実行を担当。YKKの社会的価値や、パーパス、ESG/サステナビリティ活動の推進を通じ、ステークホルダーとのエンゲージメントを高める活動に従事。ジョージア日米協会会長、ジョージア・チャーター学院運営委員会幹事、米日カウンシルのカウンシル・リーダーとしても活躍。

Pasona N A, Inc.
President & COO.
古代 賢司 Mr. Kenji Furushiro

MBA 取得後、パソナグループの米国法人パソナN Aに入社。営業担当者として、ニューヨークをはじめ、米国東海岸地域を中心に在米日系企業を対象に人材紹介・派遣サービスを提供。また、管理部門(人事、経理、給与計算管理)の業務委託事業を立ち上げるプロジェクトに携わり、人材ビジネスにおいて約10年の経験を積む。2013年よりPresident & COOに就任、2022年10月には(株)パソナグループ米州執行役員に就任し、現在に至る。全米10拠点をベースに、日系企業のグローバル人事戦略を総合的に、また迅速に支援できるよう邁進中。


「善の巡環」が導く
パーパスドリブンな組織文化と
持続可能なグローバル経営とは

古代さん まず、御社の企業理念である「善の巡環」について、お話しいただけますか。

ジェシカさん YKKの精神である「善の巡環」は、「他人の利益を図らずして自らの繁栄はない」という創業者吉田の考えです。YKKは設立当初、他メーカーのファスナーを販売していたのですが、何がお客様に一番ベネフィットがあるのか?と考えた時に、その答えが「一番良い製品を自分たちで作ること」だったんですね。最初から最後までYKKが製品を作るようになった結果、製品の品質向上とコスト削減を実現することができました。お客様がより満足し、より多くの製品を買ってもらえるようになったので、そこから得られた利益を、まず従業員により多くの機会を提供し、新機械の購入に使用して還元しました。更に、教育にも投資をしました。社員が様々なことを学べば、仕事の品質も上がり、それがお客様へ良質なものとして提供されるからです。そして残りの利益を社会貢献活動に使いました。これこそが「善の巡環」であり、90年間YKKが抱き続けている精神です。72か国に拠点を持つ弊社は、経営理念とコアバリューを通じてこの精神を世界中に広めています。

古代さん 「善の巡環」の精神を経営理念とコアバリューとして落とし込み、世界中の各拠点へ浸透させていくために、どのようなことをされていますか?

ジェシカさん 海外では創業者吉田のビデオに英語字幕を付けて見せています。また、毎年必ず社員全員参加のワークショップを行っています。その他、日本本社が「現会長と社長のムービー」、「漫画」、「創業社長の考えをまとめたワークブック」、と3つのツールを作成しています。漫画は、YKK精神に紐づく内容で、今年はブラジルで40年間働いてきた方の経験談が各地域の言語に翻訳されて社内配布されました。YKKではアメリカ、東アジア、東南アジア、中国、日本、ヨーロッパと大きく6つの地域があり、各地域の代表者が全世界の人たちに経営理念をわかってもらうにはどうすればいいのかなどを話し合ってこのツールが作成されています。

古代さん さて、ESG経営に関して深堀りできればと思いますが、1974年にジョージア州へ日系企業のYKKが製造拠点を作ったことは非常に勇気がいる決断だったのではないでしょうか?地域コミュニティに対して、どのような取り組みをされたのか気になります。

ジェシカさん 当初は大変だったと思います。まず創業社長が、カーター州知事にYKK精神を伝える会合を行いました。その後、地元理解を深めるため、メーコン市と弊社の工場がある富山県黒部市とで姉妹都市関係を築きました。また、メ―コン市は全米で一番桜の木が多い街で、桜まつりが1983年から始まったのですが、YKKが毎年スポンサーをつとめています。このような取り組みを通して、相互理解が高まったと思います。他地域でも同様に、社会貢献の意識をもちながら現地化を進めています。

古代さん サステナビリティを実現するために、従業員や地域社会からのロイヤリティを向上する努力をされているのですね。

ジェシカさん はい。もう一つ大切なことで、コアバリューに「一点の曇りなき信用」というのがあります。良いことも悪いことも、きちんと報告しましょうということです。そうすることで、信頼が生まれて、大変なときは助け合える関係ができますからね。

古代さん 企業文化がしっかりとベースにあって、各地域それぞれにRoles and Responsibilities、そしてDelegationが明確なことはYKKさんの強みですね。

ジェシカさん はい。YKKの現地法人は社長も現地採用の方が多く、本社から情報を一方的に受けとるのではなく、現地で色々と考えて、実行しています。各地域それぞれの文化がありますので、たとえ日本と違うやり方になっても、「善の巡環」の精神という軸があるので、YKKとしてのバリューは失わずにベストな状態でお客様へ製品を提供できているのだと思います。

古代さん 色々とお話を聴かせて頂き、本日はありがとうございました。

 

対談のフルバージョンはVHRBPサイトにてご覧いただけます。

*視聴には無料登録がが必要です。
次回のエグゼクティブ対談は 2024年4月18日(水)開催予定です。

 

☆エグゼクティブ対談シリーズ
https://www.pasona.com/executive-search/executive-dialog/

 

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