Home > US Living > LIFESTYLE > Entertainment > NECが描く『バイオメトリック認証』の未来
《NECコーポレーション・オブ・アメリカ》

<写真>NECコーポレーション・オブ・アメリカの池野昌宏社長(右)と
司会進行を務めるメイヤー・ブラウンLLPの村瀬悟さん(左)

 

2019年9月17日、「NECの顔認証技術:バイオメトリック認証の明るい未来」と題した講演会が、ニューヨークのジャパン・ソサエティにて開催された。スピーカーにはNECコーポレーション・オブ・アメリカの池野昌宏社長を迎え、顔認証テクノロジーの技術的な説明や利用ケースの他、NECが描くバイオメトリック認証の未来について1時間に渡って説明された。

2枚の幼少期の写真から、それぞれどのような顔の大人に成長しているか───この二択クイズからスピーチが始まった。その人物の年を経た外的変化だけでなく、テクノロジーが弾き出した正答率の高さに会場からどよめきの声が漏れる。「人の感覚ではなかなか推測ができなくても、NECのテクノロジーが素早く、正確に判断します。特に、顔と目の位置、骨格など『ユニーク・ポイント』を重点的に分析し、アダプティブ・エリア・メソッド、インフォメーション・マキシマイゼーション・メソッドといった2種類を使うことで、サングラスや帽子を被っていても問題ない判断が実現可能なのです」と池野社長はその技術力の高さに自信をのぞかせる。

顔認証技術には3段階のレベルがあるという。1つ目は、シンブルな「1 to 1 マッチング」。iPhoneの顔認証がこれに当たり、スマートフォンの中に保存された写真と、レンズが捉えるイメージとを比較する。2つ目は、「1 to N マッチング」。データベース内に集められ大量の顔と比べ、レンズが捉えた顔と認証する。NECの技術では3,000万人分の顔を1秒で正確に照合し、日本の総人口1億2000万人分でも秒でマッチさせられる。最難関の「N to N マッチング」では、多くの顔と、各種データベース内にある顔データを瞬時に照合させる。例えば、人の集まるスタジアムなどで、VIP、スタッフ、犯罪者などの各種データベースと照合し、リアルタイム解析を行う。スピードに加え高い精度も要求され、NECの技術力はこのレベルを達成する。

「バイオメトリック認証は、顔だけでなく指紋、手のひら、声、目など、個体で異なるパーツがあれば行えます。耳の穴の形にも個人差がありますので、イヤホンタイプのセンサーでも認識が可能です。NECは昔からこのバイオメトリックの分野に強く、指紋認証技術は、全米23の州警察、市警察、郡警察などに40年以上に渡って導入、犯罪調査やフォレンジック調査を中心に利用して頂いております。また、ニューヨーク州警察やアメリカ国土安全保障省では、次のステップである顔認証導入へと進んでおり、米国の空港での出入国の際にもNECのテクノロジーをご利用頂いています」。

NECは、認証技術を評価する機関NISTから、指紋認証分野で10年以上世界1位、顔認証分野でも8年連続世界一という高い評価を受け、その活躍の場を広げている。昨年12月からはデルタ航空での導入が進められ、アトランタ、ソルトレイクシティ、ミネアポリス、デトロイト、LAX、JFKの6空港でNECの技術が使われている。「犯罪者を瞬時に判断するセキュリティ面での意味合いはもちろんですが、パスポートや旅券を用意する手間を削減し、搭乗時間を30分から20分に短縮するというカスタマー・エクスペリエンス向上の動きも始まっています。他にも、イベント会場やスタジアム顔認証を導入し、年間パスを保持するVIP特別待遇や、バーチャル・リアリティシステムによるユニーク体験など、バイオメトリック利用の可能性は、加速度をつけて広がっているのです」。

2020年、選手、スタッフ、プレス、ボランティアなど、世界から約30万人の関係者が一同に会する東京オリンピックが開催される。その際、顔認証によるファスト・アクセスによる効率的なオペレーションが効力を発揮すると大きな期待が寄せられている。しかし、NECが描くバイオメトリック認証の未来は、さらにずっと先にあるようだ。「私たちの描く未来は『スマート・トラベル』『スマート・ホスピタリティ』そして『スマート・エンターテイメント』です。空港で顔認証で搭乗・出国し、旅行先ではレンタカーやホテルのチェックイン、買い物の支払いなどもすべて顔ひとつ。様々なデータベースを駆け巡り瞬時に判断する。何も持っていかなくても、顔だけあればすべて事足りる時代が、目の前に迫っているのです」。

プライバシー問題など、超えなければならない壁もあるが、顔認証を含むテクノロジーで人々の暮らしはさらに便利なものとなっていくことは間違いない。顔認証だけではない。体全体の動きを捉えて判断するモーション・トラッキング技術の研究開発も着々と進められている。「物理世界で価値を生み出すこと、そして人々を笑顔にする技術を創り出していくこと────これがNECが描くバイオメトリックの未来の形です」と、池野社長は話を締めくくった。

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