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相互交流の生まれる土壌を作る
《ジェトロ・ニューヨーク》

ジェトロ・ニューヨーク
www.jetro.go.jp/usa

所長 河本 健一 さん
山口県出身。1990年通産省(今の経産省)に入省。1996年から1年間、ワシントンDCのジョンズ・ホプキンズ大学SAIS(ポール・H・ニッツェ高等国際関係大学院)に留学。2010年夏から3年間ジェトロ・ニューヨーク次長を務め、今回でアメリカは3回目となる。学生時代は陸上部に所属し、現在もセントラルパークを中心に月間300〜400km程度を走る。世界6大マラソン大会であるニューヨーク、ボストン、シカゴ、東京、ベルリン、ロンドンのうち4つを3時間以内で完走。残りの2レース、ベルリンとロンドンマラソンへの出場機会を狙う。

次長 乃田 昌幸 さん
香川県出身。2003年経産省に入省し、2012年から東日本大震災後の原子力被災者支援に従事。ワシントンDCにあるジョンズ・ホプキンズ大学SAIS(ポール・H・ニッツェ高等国際関係大学院)での研究後、廃炉汚染水対策、福島担当の経産副大臣の秘書官など、東日本大震災関連の経験が豊富。旅行が趣味で、渡航歴は世界30数ヵ国。読書の傍ら、冬はスノボ、夏はゴルフというスポーツサイクルを作ろうと目下プランニング中。

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 新型コロナが猛威を振るい、大統領選挙やBLM(ブラック・ライブズ・マター)のデモ活動と混乱を極めてきた2020年。そんな状況下で着任した河本所長と乃田次長のお二人に、これからのジェトロ・ニューヨークの展開についてお話を聞いた。

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激動の中、進化を続けるアメリカ

河本さん:私は2010年の夏から3年間ニューヨークに次長として赴任していたのですが、昨年7月末の着任時に見たニューヨークは、私の知るニューヨークではありませんでした。ロックダウンは既に解除されていましたが、観光客はほとんどいませんでしたし、空き店舗も至る所にありました。ニューヨーカーが皆マスクをしているというのも、ある意味、驚きでした。昨年3〜4月頃のあまりに悲惨な状況がトラウマになっているのだろう、という印象を受けました。

乃田さん:私は、テレワークの定着率の高さに衝撃を受けました。日本にいた頃、テレワークをしている会社とあまりしていない会社にばらつきがありました。こちらに来て、ジェトロを含む在米日系企業がテレワークを続け、面会もオンラインを徹底させている状況には本当に驚き、感心しました。

河本さんこんな状況下でも様々なイノベーションを起こし、前へ前へと力強く進むアメリカを見ていて、本当にこの国は逞しい国だと感じています。同時に思うのは、進出日系企業にも大きなチャンスがあるということです。経済再開が進んでいく中、この1年で学んだ知見をどう今後に活かし展開していくのか。ここが一つのポイントになるでしょう。イノベーションで進められたメリットを享受しながら、我々もしっかりと日系企業の活動をサポートしていきたいと思っています。

グラスルーツの地道な活動が大切

河本さん:日本からアメリカ・カナダへの輸出や企業進出のサポート、そしてアメリカ・カナダからの対日直接投資を促進していく───これが、我々北米ジェトロ最大のミッションです。ジェトロは北米に7つの事務所を構えており、ここニューヨーク事務所はその調整センターとして機能しています。2020年においても、コロナの影響で活動の制限はありましたが、北米と日本との経済交流が停滞しないよう、そしてコロナ後にすぐに再活性化できるように各事務所が取り組んできました。

 その取り組みの一つが、アメリカでの〝グラスルーツ(草の根)〟活動です。連邦政府レベルでの活動はもちろん重要なのですが、アメリカにある6つのジェトロ事務所が、各州や郡、市、区といった自治体との間で、日本との経済交流のメリットをアピールしながら友好的な関係を構築していく。こうした地道な活動によって、日系企業の進出をしっかりとサポートしています。進出の際に地域貢献を意識しながら投資先を決める日系企業は、地域に雇用をもたらし街を活性化させる存在として評価を受けており、こうした際にも〝グラスルーツ〟の地道な活動が効力を発揮してくるのです。

日系企業の活躍できるポテンシャルは高い

乃田さん現在、日本では2020年末に約40兆円だった対日直接投資残高を、2030年に80兆円に拡大しようという目標が掲げられていますが、最大の日本への直接投資残高を有する国はアメリカであり、他方でアメリカへの直接投資残高も2019年には日本からのものが最大となっています。我々は公的機関として、この両方向を拡大させていくための重要な役割を担っていかなければなりません。

 また、先ほどのグラスルーツ活動の他に「ビジネス短信」という情報発信もしているのですが、そこではバイデン新政権による政策動向や米中関係、ビザ関係や入国関連など、在米日系企業の今後の経営方針を左右するトピックを多数扱っていますので、有効活用していただければと思います。

河本さん他にも、日本酒や日本産ブリをアメリカ市場へ普及させるためのプロモーションなど食品・農産物の輸出支援も行っています。例えば日本酒においては、コロナで飲食店に行けなくなり家でお酒を飲む機会が増えたのを機に、小売店に対する直接プロモーションや、ウェビナーを通じた小売店への教育活動などに取り組んでいます。製品にストーリー性を持たせ、魅力的に商品紹介をしていく。こうした日本の食品・農産物の販売・輸出促進にも力を入れています。 

 ここ数年、アメリカでの日本のプレゼンスは、中国・韓国に比べると相対的に下がっていると感じます。一方で、日本の技術や製品は変わらず素晴らしく、そのポテンシャルはむしろ高くなっている。ジェトロでは、こうした優れた製品をアメリカ市場へ紹介し、同時にアメリカで見つけた素晴らしい技術とタイアップし、オープンイノベーションで製品開発をしながら、日本という国を盛り立てていく。他の公的機関とも手を組みながら、こうした相互交流が生まれる土壌を着実に作り上げていくことが、我々米国ジェトロに課せられた役割なのです。

《企業概況ニュース7月号 vol.271掲載》

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