Home > Featured > 第三回 People:組織横断でOne Team となれる
プロジェクトチーム

 今回は2つ目のP「People」を紹介します。ポイントは2つあり、①混成チームを結成することと、②One Teamを作ることです。

混成チーム選定のコツ

 業務改革などの変革プロジェクト(以下PJ)では、現状維持を望む社員等から抵抗にあい、思うようにPJが進まなくなることがあります。そのため、PJメンバーとして最初から多様な役職・役目(職掌)・勤続年数の社員を巻き込み、抵抗勢力も含めた多角的な視点を持つ混成チームを結成しましょう。図をもとに各役割と選定のコツを説明していきます。

A プロジェクトマネージャー(PM)

 経営・業務部門・IT部門を取りまとめ、プロジェクトオーナーから来るPurpose(PJの意義目的と、今このPJをやる理由)をチーム内に浸透させる役割のため「絶対にPJを成功させる」という、強い意志と責任感を持つ人を選びましょう。北米では駐在または現地の部長を推奨します。

B コアチーム

 PMと一緒にPJを推進する役割のため、変革対象となる業務・システムのマネージャーや主担当者を選びましょう。人を増やしすぎると各自が主体的に動きづらくなるため、10人以下を推奨します。通常業務と兼務でPJに参加する人も多いため、「週3日はPJ専任」等、PMはPJへの関与率をメンバーの上司から確約してもらうと良いです。

 

 

One Teamで成功を目指す

① ゴールを明確にする

 PJのPurposeは決まっていても、具体的に何を達成したいかというゴールは、チーム結成時にはまだ抽象度が高いことが多いです。チームで「このPJで何を成し遂げたいのか?」というそもそも論を語り、各自のやりたいことも含めて、全員が納得できるゴールを作りましょう。

実例
「改革を通じてBack Officeをより良くする」というPurposeがあったPJでは「より良いBack Office」の定義が人によって異なりました。ミスがない、対応が早い等、チーム内で定義を話し合い、全員が納得のいくゴールを作りました。

② 役割を明確にする

 期待値交換を通じてメンバーの役割・責任範囲を明確にし、チームとしての一体感を醸成します。

実例
PJの立ち上げ時に各メンバーと「挑戦したいこと」、「挑戦してほしいこと」について期待値を交換し、各自の役割を明確にしました。

Ground Ruleを設定をする

 チーム内ルールでメンバーの心理的安全性を確保し、会議で意見を出しやすい環境を整えます。

実例
立場が上の方の意見だけに偏らないよう「立場に囚われず、オープンに話す」をルールに追加しました。

④ 振り返りをする

 会議の質やメンバーの参画意識向上等、チームとしてパフォーマンスを上げるために会議ごと、PJの節目ごと等、定期的に振り返ります。

実例
会議の内容について、各参加者から感想(改善点や良かった点)をもらい、次回に活かしました。

 

 混成チームの結成とOne Team作り、今回のTipsを参考に進めてみてください。次回は3つ目のP「Product:何をどう変えるのか、具体的な施策」を紹介します。お楽しみに!

 

《執筆》
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ

ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズは在米日系企業の業務改革、IT 戦略立案、DX に必要なコンサルティングサービスを提供しています。あらゆる変革の立ち上げから導入までを円滑に進める方法論とバイリンガルファシリテーションを武器にプロジェクトを成功に導きます。日本では 2015 年以来「働きがいのある会社 Top 10」に選出され続けています。http://www.ctp.com

ティンダル 玲子(てぃんだる・れいこ)
大手コンサルファーム・事業会社、米国大学院留学を経て、2020年ケンブリッジ米国法人入社。大手グローバル製造業のERP導入(SAP 財務会計)、組織再編に伴う経理業務移行支援、クリーンエネルギーに係る新事業戦略立案支援などに従事。米国・ドイツ・日本でプロジェクトを7年経験。

 

 

 

《企業概況ニュース》2023年6月号掲載

 

《連載》コンサルタントが実践する 現地法人変革の進め方

連載① 4+1のPで変革をリードする
連載② Purpose:プロジェクトの意義目的の明文化と浸透

 

《連載》会社を変える!明日から使えるファシリテーション術

連載① 駐在員が苦しむ「結果が出にくい構造」
連載② 「決まったこと」と「やるべきこと」を確認する
連載③ 終わり方を決めないと始められない
連載④ 会議は4つのPで準備せよ
連載⑤ あなたのチーム、ただの『ヒトの集まり』になってませんか?
連載⑥ チームの成功と成長をもたらす黄色い旗
連載⑦ 対話の相手を尊重した4つの振る舞い

連載⑧ 過去を振り返り、未来へ活かすサンセット
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